千手院
[出雲三十三番観音霊場] [出雲国十三仏霊場]
▲この写真は、平成22年3月27日の「春の例大祭」の時のものです。
市の北郊、城下町の面影が色濃く残る城北石橋町。造り酒屋の土蔵の白壁がどっしりと構え、醤油を醸す香りの漂う町角を曲がるとほどなく千手院の参道にかかる。この附近は江戸時代から職人の町と幾人かの家臣、中堅どころの武家の屋敷があり、又その人々が使った井戸は市内では数少ない良水で、「石橋の水」として今島根名水百選に選定されている。
緑深い千手院は小高い山の上の寺。松江市緑地保全地区第一号の指定を受け、町中の寺とは思えない静かなたたずまいである。参道の両側は桜とつつじそして紫陽花なとが植えられ、教百年のもみじの巨木と境内にあるこの地方第一の枝垂桜が枝を広げて迎えてくれる。
眼下には松江市街が開け、西南指呼の間に松江城の天守閣が見える。堀尾吉晴公が松江城を建てる時、長海禅師に命じ地鎮の法を修し鬼門を封じて慶長十三年、一寺を建立した。これが広瀬より移築された千手院である。昭和二十五年、六年、松江城の昭和大修理に当り、「雲陽誌」に記された通り、天守閣中央地下より密教法具が出土し、この記述が立証され、古式通り地鎮立柱式が佛式により行われたことは記憶に新しい。
松江城鎮護の道場として、出雲霊場二十六番として、また桜の頃、紅葉の頃と四季を通して市民憩いの場として参拝者が絶えない千手院。松江の展望台として美しい松江の街を眼下に、書をひもとく人や散策の人へ御仏の慈眼がそそがれる、いつでも自由に参詣できる寺である。
時間があれば不昧公直筆の山号額や、登城祈祷本尊三幅対、源信の不動明王立像図(孝源僧正写)や鬼門鑵不動明王座像、初代倉崎権兵衛の作になる布袋像なと拝するも心安らぐ時が得られる寺である。更に江戸時代から続く正月三ヶ日の修正会護摩供も近時初詣とする人々も多く、知る人ぞ知る正月風景である。
表情豊かな弘法大師様が迎えてくれます。 |
<ガイド>
●宗 旨/真言宗
●ご本尊/十一面観世音菩薩
●名 所/境内の枝垂桜
松江城 ヘルン(小泉八雲)旧居 武家屋敷
つきかげも こくらのやまの ひとしおの はなももみじも こころあるらん
松江市石橋町385TEL0852-21-1791