円通寺
[出雲三十三番観音霊場]
国道54号線旧道、多根より2、3キロはど登れば中国山地の連峯を一望する450米(山頂)の山に至る。
この寺の草創は天平年間(1200年前)開祖は行基菩薩であり、諸国行脚の途上、この山に紫雲のたなびくを見て霊地ならんと観じ、登山されたところ大雨となり、巨松の下に雨宿りされたが、そこに大龍が臥居して霧を山麓に向ってはいていたので臥龍山と名づけ直ちに如意輪観音像を彫刻安置して、観音の普門円通の謂から円通寺と名づけた。
その後「康保・安和」の頃〈964~969)性空上人が七堂伽藍を建立し、大規模の寺となり栄えた。 以来上人を中興の祖と仰いでいるが、法燈連綿として輝き、中古には支院が近郷に四十二坊と地内の大日山の大畑には別当寺もあったといいそれらもすべて明治維新の時廃寺となり、本院のみ残った。
本院は文禄年間、毛利家臣佐世石見守及び古志伊予守より寺領寄附を受け、その後徳川時代、元禄九年(1696)当国領主より代々寺領寄附がめり、三代松平綱近の時より加えて燈明料の寄附があった。寄附は出雲大社、鰐渕寺に次ぐものであったと伝えられる。又当院は聖宝上人(832) により仏殿が建立され、不動明王が安置されて以来、僧兵、山伏等による山岳密教の道場として栄えた。因みに現在掛合太鼓の中の円通寺太鼓はこの頃の僧兵の太鼓に起因している。戦国時代尼子、毛利の戦火により本堂を焼失するなど往古度々火災に遭っているが、幸いにもご本尊は現在に伝えている。尚この寺は昔から縁結び、子宝、まむしの毒とり等の観音様として親しまれている。
<ガイド>
●宗 旨/天台宗
●ご本尊/如意輪観世音菩薩
●行 事/春の観音供養と火まつり 4月17日
夏の盆施がき 7月17日
天台・伝教
お大師講 11月20日
なにごとも こころのうちを たねとして このえんづうを きょうとたのまん
島根県雲南市掛合町多根 TEL0854-62-0168