願興寺
[出雲三十三番観音霊場]
当山の創立は、伽藍の焼失に伴ない、その詳細は定かでない。
出雲観音霊場の開設は千二~三百年前といわれているので、当寺の創立、時を同じくするものと思われる。行基の建立との口伝あリ。
山號を新美兼山と称しし、曹洞宗臥龍山宗渕寺と同し境内地にあり、現在法人格はなく、宗渕寺の伽藍のひとつとして管理されている。
当寺のある出雲郷は、国分寺跡にみられる様に、古代、中世を通して文化の中心地として栄え、寺院も多く散在していた。
本尊は十一面観音(御長一尺七寸立像)、脇仏に不動明王、毘沙門天(いずれも一尺八寸の立像)を配している。
別名「子さづけ観音」の通称あり。戦争中国策に添って多くの信者が「子さづけ」の願をかけたが、終戦とともに急速に信者を失ない、観音霊場自体も衰退の一路をたどった。
当初は密教系寺院として始まっていたが、出雲郷の町中に在った曹洞宗系宗渕寺が伽藍焼失に伴ない、天保十四年に願興寺境内地に移築されたのを機に、曹洞宗となる。
同境内地に秋葉三尺坊大権現、天満大自在天神、金比羅大権現をまつった小祠であり、庚申信仰を思わせる「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿像も安置されている。
昭和六十三年、信徒の布教強化、管理運営強化、伽藍の整備の推進の目的から、観音講の再編をはかり、信徒の拡大に努めている。
毎月十七日、定例法要日を設けて多くの参拝者を得ている。
又、年二回(春秋)出雲三十三観音霊場巡拝を実施している。
宗派を越えて信仰がある。
平成五年度、駐車場、九号線入ロの整備拡幅を行ない、バスの乗り入れを可能とした。
参道の両側にある古木の松が参拝者を迎えてくれる。
<ガイド>
●宗 旨/曹洞宗
●ご本尊/十一面観世音
●行 事/毎月17日 定例法要
年2回 観音霊場巡拝
●名 所/阿太加夜神社
国道9号線南側にある当社提供の看板 看板から200メートル入ると松の参道
が目に入ります。
松並木の参道を経て山門をくぐると左手に 本堂と観音堂(願興寺)の間には、
曹洞宗「宗渕寺」本堂、庫裏があります。(本堂 石仏の「観音さま」がお祀り
右手横には、この地方では珍しい立派な位牌堂 してあります。
があります。
願興寺観音堂の前には、出雲観音霊場を 宗渕寺本堂前には、「六地蔵さま」が
33回、50回巡拝された方の記念塔が建立されています。 祀ってあります。
いずもさと おもいたちぬる かんおこし はややすやすと じょうずするかな
願興寺観音堂は、宝形造り三間四面のお堂でご本尊は、十一面観世音菩薩。 欽明天皇の妃が観世音の霊夢を感得して建立したとも伝えられている。 このお堂の紅梁の彫り物は、大変緻密な籠彫りで出来ており、歴史を感じさせます。
松江市東出雲町大字出雲郷816TEL0852-52-3285