長谷寺
[出雲三十三番観音霊場]
長谷寺は加茂町の中心地柳橋から南へ四キロの平担地にある。
伝来の経文の末尾に記された縁起によると、本尊十一面観音像は、関東筑波山の開基、得一大師が二人の老翁の協力を得て、琵琶湖に浮ぶ霊木で三体の尊像を刻み大和、鎌倉、出雲の長谷寺に安置された霊像と伝えられている。
総高1、77メートルの桧の一木にて造られ、面相は、ふっくらと丸味を帯び、造像時の原形をよく保ち、鎌倉初期(800年前)の優れた技術は、一流の仏師の作として、昭和五十八年六月島根県有形文化財の指定をうけた。
慶長十二年(1607)火災のため古文書を失い、寺史を確認し得ないが、往古は真言系列に属し、室町時代宝徳三年(1451)山口県長門市湯本にある曹洞宗大寧寺の末寺となり、法灯連綿として現在に至っている。中世佐藤肥後守清左衛門尉輝武が永禄六年(1563)に戦没した両親一族のため長谷禅寺へ黄金百枚、土地十石を寄進した記録の銅鏡が発見され、当寺の再興に寄与しものかと推察される。観音堂は元治元年(1864)に再建され、方形四棟造りで、中世の禅宗仏殿の様式をそのまま伝えている。現在の桜門は大正二年(1913)に大東町の名工上代又兵衛により改築された。
境内をとり囲む裏山一帯は、椎の自然林で、うっそうと茂り、山号の一名獅子林を称したゆえんである。元禄五年、松江藩三代綱近公は眼病祈願のため毎年十二俵づつ寄進あり、又古来「子安観音」として安産、子授けを祈る遠近の人々の信仰が篤い。
<ガイド>
●宗 旨/曹洞宗
●御本尊/十一面観世音菩薩
●行 事/大般若法要(4月18日)
十七夜祭(奉納盆踊り)(8月17日)
観音まつり(毎月17日)
はつせでら みよまでうつせ たれもみな まいるこころは とうとかるらん
島根県雲南市加茂町三代599TEL0854-49-7412